世界脳週間2025 京都講演会

日 時 2025年7月19日(土)14:00 - 16:30
会 場 東山高等学校(京都市左京区永観堂町51)
https://www.higashiyama.ed.jp/access/
主 催 京都神経科学グループ、NPO法人脳の世紀推進会議
代 表 京都岡本記念病院 教育センター / 京都府立医科大学 名誉教授、京都岡本記念病院顧問 河田 光博
脳の世紀推進会議 理事長 / 国立精神・神経医療研究センター 名誉理事長
水澤英洋
共催 国立研究開発法人 理化学研究所 脳神経科学研究センター、ブレインサイエンス振興財団
問い合せ
  • 澤田 寛成 hr_sawada[at]higashiyama.ed.jp
  • 玉井 克樹 k_tamai[at]higashiyama.ed.jp
  • 河田 光博 m-kawata[at]okamoto-hp.or.jp

開催趣旨

「脳科学」は高校生にとって受験科目ではないが、知りたいという衝動に駆られ、ヒトやものごとを探求することは、脳を自由に使い新たな発見の喜びにつながる。脳がどのようにはたらいているのか、シナプスや神経細胞の電気活動、神経伝達物質といった断片的な言葉だけでなく、脳の活動がどのようになりたっているのか、その基本となる理論や実験を分かりやすく解説し、多様なブレインサイエンスの研究の醍醐味を体感し、教科書では得られない未知の世界を覗くことを目的にした。そのために、世界の第一線で活躍されている大阪大学の岡村康司教授による講演会を企画した。京都の7月は暑いが、祇園祭の時期に開催することで、京都以外からの参加者にも配慮した。

プログラム

7月19日(講演会)

講演 14時から16時30分まで、司会進行は東山高校1-2年生
司会者による紹介(会の趣旨説明:世話人河田名誉教授)
講演者 岡村康司教授(大阪大学大学院医学系研究科 統合生理学)
講演タイトル 「脳の電気信号を作り出す分子の仕組み」(60分:最初の50分は日本語、残りの10分は英語による解説)
質疑応答 30分のち記念撮影

8月1日(研究室訪問)

大阪大学医学研究科 統合生理学教室の見学(東山高校1年生7名)
岡村教授と教室スタッフによる研究室での実験・研究の解説、大阪大学大学院医学系研究科附属共同研究実習センターの見学

参加者数

37名(内訳 東山高校生15名(2年生)、京都女子高校13名(1-2年生)、洛星高校1名(2年生)、桜蔭中学1名(3年生)、教員5名、保護者1名、講演者1名

イベントの概要

講演者樽野教授が医学部に入学して、なぜ基礎医学研究に進もうとしたのか、とくに教科書に書かれている内容を新たに自分が書き換えたいという願望がうまれた背景を説明された。とくに感覚情報のメカニズムの中で、味覚だけが研究が遅れており、新たなチャレンジ精神(クールな研究がしたい)が芽生え、その結果、古い教科書に書かれている部分が事実と異なっていたのはなぜか、また新たな自分自身の発見によって正しくその内容が書き改められるようになったストーリーを分かりやすく説明された。味覚のサイエンスを通じてチャネルシナプスという新たな概念、言葉を生み出した実験内容を最新脳科学的手法も踏まえて提示され、食文化や人類を取り巻く環境の進化、さらには塩味受容の発達経過から、高血圧疾患に対する医学的展開にまで話が及んだ。

参加者の反応

講演直後の質疑応答において、多数の生徒(東山高校、洛星高校、京都女子高校)たちは、味覚の分子機構から味覚の障害にまで、素直な疑問を物おじせず質問し、それに真摯に樽野教授は答えてくださった。また講演会が終了後も有志が残り、40分ほど自由な質疑応答の続編ともいうべきセッションが繰り広げられた。高校生にとっては味覚受容という内容は教科書にも載っておらず、シナプス伝達機構の基本的な知識も合わせて、研究の面白さが伝わったようであった。

開催者の総括

若々しい樽野教授の、クールな研究態度、発表のスマートさ、歴史的事実から最新の先端的技術を用いた味覚受容のメカニズムについて、何が分かっていて、何が分かっていないのか、その探求を進めるサイエンスの醍醐味が高校生に伝わった様子であった。司会進行も日本語と英語ですすめられ、講演自体も最初は日本語、つぎに英語での発表という、まさに世界を見据えた今回の講演会であった。冒頭に水澤理事長が脳の特殊性、脳は他の臓器と同じように移植できるのか、という疑問を提示され、高校生は「考える」とはどういうことか、考える時間が持てたようであった。